2026年8月7日金曜日

鈴鹿市 小林歯科様|幅の狭い植栽帯が、外から見ると緑の壁になる

三重県鈴鹿市の小林歯科様で、夏の定期管理にお伺いしました。 この現場でいつも感じることがあります。木を植えている場所は、驚くほど狭い。 作業前の様子です。道路側から見ると、塀の上にシマトネリコの緑が横に長く広がっています。夏のあいだに枝が伸びて、壁面をだいぶ覆っていました。 同じ場所を、手を入れたあとに撮ったのがこちらです。 窓の位置が見えるようになりました。木を小さくしたわけではありません。混んでいた枝を抜いて、一本ずつの姿が読めるようにしただけです。 緑の量は減っていますが、目隠しとしての役目は残っています。ここの加減がこの現場の肝です。隠しすぎると建物が暗くなり、透かしすぎると通りから中が見えてしまいます。 けれど、この木が生えているのは、建物と塀に挟まれた通路です。 人がすれ違えないほどの幅しかありません。足元は白い砂利。上を見れば軒が張り出しています。 狭い場所ほど、根を見る こういう場所は、木にとって楽ではありません。 土の量が限られます。日は片側からしか入りません。風も抜けにくい。雨も軒に遮られて、思ったほど届かないことがあります。...

source https://www.senteiyasora.com/post/suzuka-kobayashi-shika-shimatoneriko-2026

2026年8月5日水曜日

落ち葉は変わらない。変わるのは、人の扱いのほう

落ち葉は、行く先々で厄介者として扱われていることが多い。 側溝を詰まらせる、路面を滑らせる、隣家へ飛んでいく。集めて、袋に詰めて、運んで、燃やす。 そのために毎年、費用と手間がかかっています。 けれど同じ落ち葉が、国際機関に認定された遺産の中心にもなっています。 落ち葉が場所によって変わるわけではありません。変わっているのは、人の側の扱いだけです。 落ち葉は自分で土にならない まず、落ち葉が土になる過程を整理します。よく土に還ると言いますが、落ち葉が勝手に土になるわけではありません。土にしているのは、生きものです。 最初に動くのはトビムシ、ヤスデ、ダンゴムシといった小さな生きもので、落ち葉を物理的に砕きます。 次に菌類が入り、砕かれた有機物を化学的に分解する。そしてミミズやムカデが土の中を動きながら、有機物と土を混ぜていきます。この混ぜる働きは耕耘とも呼ばれ、土の性質そのものを変えていきます。 広葉樹の葉は1年から2年で腐植に変わります。スギやヒノキの針葉は3年から5年かかります。時間がかかるということは、その間ずっと生きものが働いているということです。...

source https://www.senteiyasora.com/post/%E8%90%BD%E3%81%A1%E8%91%89%E3%81%AF%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%82%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%80%81%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%89%B1%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%BB%E3%81%86

続く倒木事例。日本各地で起こる危険 樹木の倒木 ナラ枯れ

7月、そして8月にも樹木倒木事故のニュースが続いています。 2026年7月19日の静岡御殿場市サッカー場での倒木事故では、高さ約18〜20メートルものコナラの木が少年サッカーの試合中に突然根元から倒れ、観戦していた保護者女性や未就学児など7人が救急搬送されました。 倒れたのは晴天で、風もない日の正午すぎ。 嵐でもない穏やかな昼に、大人が両手で抱えても回らないような太さの木が、根元から傾いたことになります。 この倒木の原因は強風ではなく、樹木の伝染病であるナラ枯れによる根腐れと判明しています。 ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシが運ぶナラ菌によって、ミズナラやコナラなどの木が集団で枯れてしまう伝染病。 正式にはブナ科樹木萎凋病と呼ばれ、萎凋(いちょう)とは、水が上がらなくなって木がしおれることを指します。 犯人のカシノナガキクイムシは、体長5ミリほどの小さな甲虫。 6月下旬から8月にかけて幹に穴を開けて入り込み、その体に付けて運んできたナラ菌が幹の中で広がり、木は水を吸い上げられなくなります。 外から見て何ともないように見える木が、内側で水の通り道を断たれている。...

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木を殺さずに洞を作る。生きた木に彫る人工樹洞とベテラナイゼーション

洞は、木が数百年かけて手に入れるものです。 洞のある木を見たことがあるでしょうか。幹にぽっかりと空いた穴。あそこにはフクロウが入り、コウモリがねぐらにし、腐った材を食べる甲虫が暮らします。 幹にできた洞。まわりが盛り上がっているのは、木が傷を巻き込もうとした跡です。 その洞を、木は数百年かけて手に入れます。枝が折れ、雨が入り、菌が入り、少しずつ内側が空いていく。時間だけが作れるものでした。 ところが老齢木は世界中で減りました。残ったのは若い木ばかりの森です。若い木が同じ構造を得るには百年から数百年かかります。その間、洞に頼って生きている生き物は待てません。 この時間の空白を、道具で埋めようという技術があります。英語でベテラナイゼーション(veteranisation)と呼びます。合言葉は、時間のかわりに道具を使う(tools instead of time)です。 老齢木が減って生まれた空白を、時間ではなく道具で埋める。概念図であり実測値ではありません。 老齢木にしかないものを、樹木関連微小生息地と呼ぶ 老齢木は、洞、裂け目、腐朽した材、樹液の滲み出しといった構造を持ちます。これ...

source https://www.senteiyasora.com/post/carving-cavities-into-living-trees-veteranisation

2026年8月4日火曜日

鈴鹿市 さくらじま内科様|玄関を覆いはじめたシマトネリコを整える

三重県鈴鹿市の さくらじま内科様 で、夏の定期管理にお伺いしました。玄関前に立つ株立ちのシマトネリコが大きく枝を広げ、入口の上まで覆いはじめていました。 夏に伸びる木だから、夏に手を入れる シマトネリコは常緑で、生長がとても早い樹種です。植えたときは細い株立ちでも、放っておくと2階の高さまで届きます。しかも夏が成長期なので、春に整えた樹形が、夏にはもう変わっています。 だからこの木は、強く切って形を作るのではなく、伸びた徒長枝をこまめに軽く整えるのが基本になります。今回もその考え方で、玄関側へ張り出した枝を中心に、上部から順に透かしていきました。 もう一つ、この木で気をつけているのが作業する日の天気です。シマトネリコは湿度の高い雨の日に切ると、切り口が枯れ込みやすくなります。この日は晴れていたので、その点でも良い日でした。 医療施設の緑地で見ているもの 医療施設のお庭は、特別な景色を見せるためにあるのではなく、日常の中にある静けさを保つためにあると感じています。 来院される患者様の目に、最初に触れる場所です。雑草ひとつ、落ち葉ひとつが、施設の印象をつくります。だからこの現場では、...

source https://www.senteiyasora.com/post/suzuka-clinic-shimatoneriko-sentei-2026

鈴鹿市の庭木剪定|主幹を失ったオリーブは、なぜまた茂ったのか

鈴鹿市の個人邸で、夏の定期管理にお伺いしました。 お庭にはオリーブ2本があります。今年整えているこの2本のうち右の一本は以前オリーブアナアキゾウムシに主幹をやられ、株元からの芽吹きだけで作り直してきた木です。今回はマサキの生垣、アラカシの手入れとあわせて、その更新後の樹形を整えました。 右のオリーブは、主幹と呼べる太い幹がありません。以前、地際近くにオリーブアナアキゾウムシが入り、幹の内部を食い荒らして枯らしてしまったためです。 オリーブアナアキゾウムシは外来の侵入者ではありません。もともと日本の山でイボタノキやネズミモチといったモクセイ科の木を食べて生きていた在来種で、オリーブが日本に持ち込まれると、同じモクセイ科として食害の対象にしてしまいました。 幼虫は皮層と形成層、つまり水と養分の通り道を地際でぐるりと断ちます。外から見えるサインはほとんどなく、早期発見の手がかりは根元に落ちるオガクズ状の木くずと、地際近くに潜む成虫そのものです。 この庭でも、成虫を実際に確認したことでゾウムシによるものと分かりました。 けれどオリーブは主幹を失っても終わりません。株元が生きていれば、そこ...

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2026年7月30日木曜日

夏の定期庭手入れ、壁面沿いの剪定から消毒まで一日の記録

三重県津市の歯科医院様の緑地で、夏の定期手入れを行いました。 年に三回お預かりしている医院の壁面沿いの植栽です。 朝から夕方まで、剪定から下草手入れ、駐車場の除草、そして消毒までさせていただきました。 朝八時半。手を入れる前の壁面沿いです。 シマトネリコやアラカシは生育の早い常緑樹です。梅雨明けの今は、こうした常緑の剪定にちょうどよい時期。芽を吹く力が強いので、夏に整えても回復が早く強めの剪定は適度に行い剪定していきます。 十時すぎ。脚立を立てて背の高い木から手を入れていきます。医院のガラス面や壁に触れないよう、上から順に。 建物のすぐ際に立つ木は、支障に慣れないように枝を大抜きして調整して外側に張り出すように仕立ててます。 アラカシの剪定 強めの剪定だと徒長が出るので枝を細くして調整。 ヤマモモやオリーブは、剪定のついでに幹の根元も見ておきます。 テッポウムシやオリーブアナアキゾウムシが入ると、幹に穴があいて木くずが出ます。夏は活動期なので、木を触るこの機会に必ず確認します。 昼すぎ。剪定を終えた枝ぶりです。込んだ枝を抜いて、光と風が通るようになりました。...

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2026年7月29日水曜日

イングリッシュガーデンの夏の庭園管理|刈る場所と、残す場所

三重県菰野町のお庭にて、生垣の刈込みと芝刈り、除草作業を行いました。 四人で一日、朝八時から夕方十六時までの作業です。夏の庭は、伸びるのが早い。前回の手入れから伸びた分を、一日で戻していきます。 二手に分かれました。一方は東側の通路沿い、レイランディの生垣の刈込みと清掃。もう一方は西のお庭から順に、芝刈り、除草清掃、除草剤の散布へと進みます。 生垣は、葉を残して刈る 東側の通路沿いには、レイランディの生垣が長く続いています。翌日の朝に撮った一枚です。刈り上がった面が、ブロックのように並んでいます。 コニファーの生垣を刈るときに気をつけているのは、葉を残して切ることです。 葉を残さずに枝の奥まで切り込むと、その枝からわき芽が出にくくなり、枝枯れにつながることがあるとされています。 反対に、葉を残しながら定期的に刈り込んでいけば、うろこ状の新しい葉が次々に出てきて、面が詰まっていきます。 生垣が美しく見えるのは、刈った直後だからではありません。刈られ続けてきた年月が、面になって出てきているからです。一度伸びきってから強く切り戻すより、毎年少しずつ刈るほうが、結果として早くきれいになり...

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四日市市松本 松本城跡の立ち枯れコナラ2本を特殊伐採(白色腐朽の裏づけと搬出)

三重県四日市市松本にある松本城跡で、立ち枯れたコナラ2本を根元近くまで伐らせていただきました。 この春、一本のコナラの大木には幹に二段のサルノコシカケを見つけ、中まで腐朽が進んでいると見立てた木です。夏にその見立てを確かめながら2本のコナラを伐採させていただきました。 対象は隣地の住宅が近いコナラでした。倒れる方向を選べない場所で、根元から普通に伐り倒すことはできません。老木が弱ることは森の終わりではなく、共存を考えた森へ変えていく転機です。安全に、丁寧に、順を追って高い所から降ろしていきます。 木に登り、上部の枝と幹を少しずつ切り分けるクライミングでの特殊伐採です。落とせない方向がある現場では、地上から一気に倒すのではなく、上から短く区切って降ろすことで、住宅にも電線にも触れさせずに進められます。 上部を処理したあと、残った幹をクレーン車で吊りながら玉切りにしていきます。腐朽が進んだ幹は内部の強度が読みにくく、吊って支えながら切ることで、切った瞬間の裂けや落下を防ぎます。 玉切りにした材は、その場でクレーンと軽トラックに積み込み、搬出します。城跡の斜面地で足場が限られるため、人...

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2026年7月28日火曜日

花や葉だけじゃない。樹皮の観察もおもしろい 植物本 樹皮ハンドブック

樹皮ハンドブック(林将之 著、文一総合出版)は、樹木の樹皮、つまり幹の表面に焦点を当てた、木を見分けるための実践的なフィールド図鑑です。 花や葉をポイントに見分ける植物図鑑は多くありますが、樹皮に特化した本は珍しいなと思い、手に取りました。 マツやスギ、ヒノキ、ケヤキ、モミジ、カエデなど、身近な樹木や有用樹をあわせて158種が掲載されています。 一つの樹種につき、若木・成木・老木という3つの状態の樹皮写真、全画像500点を比較できるようになっています。 日本で初めての樹皮図鑑でもあります。 この本を見て、樹皮は樹の成長状態によって表情が変わるのだと、あらためて気づかされました。 普段何気なく目にしている樹木も、若い頃と年を重ねた頃では、まるで別の種類のように見えることもあります。 人間のシワや肌のハリが変化していくのと、同じイメージですね。 樹皮は大きく、横筋、平滑、縦筋、縦裂、網裂、斑剥と分類もされています。 この木は何の樹種かと気になったときに、まず分類から目星をつけて、一覧画像から調べられるのは便利です。 一緒に掲載されている葉のスキャン画像でも確認できます。...

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